日商簿記2級から追加される単元として工業簿記があります。
簿記3級は商業簿記の内容だけなので
簿記2級の勉強を始めるときに工業簿記の方でつまづく人が多いんです。
今回は工業簿記の基本中の基本である
「製造原価」の分類について解説していきます♪
工業簿記から登場する「製造原価」とは?
まず商業簿記と工業簿記の違いを簡単に説明します♪
商業簿記は物を仕入れて売るという流れだけでしたが
工業簿記には「物を製造する」という過程が入ってきます。
つまり材料を仕入れて、物を製造しそれを売るのです。
そこで物を作るのにかかる費用が「製造原価」です。
物は売ったり管理するのにも費用がかかりますが
今回は「作る」にフォーカスした製造原価に絞って解説していきます!

まず製造原価は
「製造直接費」と「製造間接費」に分けられます。
・製造直接費:1つの製品にいくらかかったのかがわかる費用
・製造間接費:1つの製品にいくらかかったのかがわからない費用
仕分けをする際、
製造直接費はそのまま仕掛品に振り替えますが
製造間接費は1度「製造間接費」勘定に振り替えてから
何らかの基準(配賦基準)に基づいて製品ごとに振り分けます。
さらに製造直接費と製造間接費は
「材料費」「労務費」「経費」に分類されるので
次は材料費の直接費と間接費の分類方法を解説していきます。
材料費の分類方法
今回は自動車製造会社だと仮定して例を上げていきます。
直接材料費に分類されるのは
主な材料である「主要材料費」と
外注して手に入れた「買入部品費」のみです。

量がきちんと決まっていない「補助材料費」や
消耗品などは間接材料費となります。
しかし間接材料費は例えばペンキ1缶使い切るまで
1枚あたりの費用がわからないですよね。。。
そんな時のために簿記の問題では
「予定消費単価」というのが問題文で提示されます。
もちろん誤差が出ることもありますので
月末には「材料消費価格差異」勘定で調整する必要があります。
労務費はボーナスや退職金なども入る!

ここで注目してほしいのは「賃金」の部分ですが
従業員は直接工と間接工の2種類に分類することができます。
・直接工:直接製造に関わる人(機械の操作、組み立てなど)
・間接工;直接製造に関わらない人(機械の修繕、運搬など)
同じように仕事内容も
・直接作業:直接製造に関わる作業
・間接作業:直接製造に関わらない作業
に分けられます。
間接工の仕事は間接作業のみですが
直接工は直接作業だけでなく間接作業をすることもあります。
労務費の中で直接労務費に分類されるのは
直接工の「直接作業分」のみです!
直接労務費に関しては材料費のように
「予定賃率」というあらかじめ決められた基準があります。
これによって生じた差は「賃率差異」勘定で月末に精算されます。
経費は交通費から光熱費まで幅広い!

経費も様々なものが含まれますが
直接経費は「外注加工賃」と「特許権使用料」のみです。
経費は光熱費や家賃代など製品1つあたりの料金が
すぐにわからないものばかりなので
間接経費がどうしても多くなってしまうんですね。
仕訳方法は材料費も労務費も経費も全て同じ!
今回は製造原価に含まれる
材料費・労務費・経費の分類を解説してきました。
全部で6種類といいましたが
仕訳方法は2種類でとてもシンプルなんです!
・製造直接費:1つあたりの費用がわかっているのでそのまま「仕掛品」へ
・製造間接費:1度「製造間接費」を経由して1つあたりの費用を求めてから「仕掛品」へ
次は「個別原価計算」について解説していきます!
最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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